脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の多い部位(頭皮、顔、胸部など)に炎症を引き起こす慢性的な皮膚疾患です。治療の目的は、炎症の抑制、皮膚のバリア機能の回復、皮脂分泌のコントロールなどです。
1. 脂漏性皮膚炎の治療法
(1) 外用薬による治療
抗真菌薬(カビの増殖を抑える)
ケトコナゾール(ニゾラール)
真菌(マラセチア菌)の増殖を抑制する
ミコナゾール(フロリードなど)
イトラコナゾール(イトリゾール)
ステロイド外用薬(炎症を抑える)
低~中程度のステロイド(ロコイド、リドメックスなど)
長期間の使用は避ける(皮膚が薄くなる副作用)
カルシニューリン阻害薬(ステロイドの代替)
タクロリムス(プロトピック)
ピメクロリムス(エリデル)
免疫調整作用で炎症を抑える
角質剥離剤(皮脂の蓄積を防ぐ)
サリチル酸
硫黄ローション
皮脂を落としやすくし、フケを抑える
(2) シャンプー・洗顔
抗真菌成分配合のシャンプー
ケトコナゾール(ニゾラールシャンプー)
ジンクピリチオン(ZPT)配合シャンプー
セレン硫化物配合(セレンブルーなど)
低刺激の洗顔料・スキンケア
界面活性剤の少ない洗顔料
乳液やクリームは低刺激のものを選ぶ
(3) 内服薬(重症例)
抗真菌薬の内服
イトラコナゾール(イトリゾール)
フルコナゾール(ジフルカン)
重症例や再発を繰り返す場合に使用
ビタミン剤
ビタミンB2(リボフラビン)・B6(ピリドキシン)
皮脂の分泌を調整し、皮膚の健康を保つ
抗ヒスタミン薬(かゆみ対策)
アレグラ、クラリチン、ザイザルなど
かゆみが強い場合に使用
2. 生活習慣の改善
食生活の見直し
脂っこい食事・糖質を控える
ビタミンB群を多く含む食品(レバー、卵、納豆など)を摂取
ストレス管理
睡眠不足やストレスが悪化の原因になることが多い
適度な洗顔・シャンプー
洗いすぎると逆に皮脂が増えるため、1日1回を目安に
まとめ
脂漏性皮膚炎の治療には、抗真菌薬の外用・内服、ステロイドやカルシニューリン阻害薬の使用、適切なシャンプーやスキンケアが重要です。生活習慣の見直しもあわせて行うことで、症状の改善が期待できます。症状が続く場合は、皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。
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